カテゴリー:日本文化と笹
笹を辞書などで調べると「イネ科タケササ類の小形の竹の総称」と出てきますが、
他にも色々な意味があります。
①竹に対する言葉。筍の成長後に竹の皮をつけているもの。
②竹の葉のこと(昔に使われていました)
③御献(おっこん)。お酒のこと(女房言葉)
笹が酒?
全く共通性が見えないようにも思えますが、
かつて中国で酒のことを竹葉(ちくよう)と言っていたことに由来し、
それから竹の異称になったと言われています。
ワンポイント
日本の古い詩にも笹と酒の関係性が発見できます。
「岩魚(イワナ)にはまだならずとも笹魚(ササウオ)の
ササをすすむるひと筋となれ」
意訳すると
「笹の芽が谷川に落ちてイワナという魚になり
酒どきの肴になるように」
このように酒と笹の縁は国をまたいで古くから伝わっています。
酒をつくる時、飲む時、そこにも酒と笹とのつながりがあります。
酒をつくる際、防腐剤としてもっとも古くから使われてきたのは
クマ笹の葉を粉末にしたものを使う方法です。
戦前まで函館の酒造所で行われていたようです。
中国では酒の発酵を止めるのにも使っていたとか……。
その後、コスト面などから酒の防腐剤にはサリチル酸が使われるようになりました。
(現在、日本のお酒にサリチル酸は使われていません)
サリチル酸を使った酒は、ときに酷い悪酔いになることもあったらしいですが、
笹を防腐剤に使ったものは二日酔い等になることが少なかったといいます。
群馬県や和歌山県新宮市では酒をササという文化が僅かに残っています。
宮中では酒のことを表す言葉として、ササとオッコンの両方が使われています。
また、『日葡辞典』には酒粕のことをササノミと載っています。