カテゴリー:日本文化と笹
4月は、あらゆる筍が一年ぶりに水を得た魚のように固い地面を割って
いっせいに生えて出てきます。
まずクマザサとネザサが先頭を切って顔を出します。
どれも各節から一本ずつ、地面に線を描いて、文字通り「破竹の勢い」で出てきます。
種類によりますが、アオネザサ、アオアズマネザサ等の鮮緑色のものから、
キンチクのような黄金色まで、アントシアニン含有によって着色度が決まっています。
この筍の時期ほど楽しい物はありません。
4月に見どころの竹・笹
クマザサ<隈笹>
鑑賞期:春~秋。
植栽用途:庭植え、鉢植え。
性質・特徴:高さ0.1~1.0m、葉は大型で冬の隈が美しく、葉は無毛で、鞘に粗毛が密生するものほど隈が美しくなります。葉の全体に黄金色のスジが入るフイリクマザサはクマザサの一品種です。
ネザサ<根笹>
鑑賞期:年中。
植栽用途:石付け、鉢植え。
性質・特徴:高さ0.3~3mで至って強壮、施肥して剪定すると、高さが自由自在。葉は緑色で古枝を切ると、美しい葉が次々と出てきます。
アオネザサ<青根笹>
鑑賞期:春~秋。
植栽用途:鉢植え。
性質・特徴:全株鮮緑色で春の出筍期はとても綺麗です。葉は裏面中央にのみ粗毛が生えます。地下茎が深く、地中1mにも達します。
アオアズマネササ<青東根笹>
鑑賞期:年中。
植栽用途:石付け、水苔植え。
性質・特徴:アズマネザサの一品。アントシアニンを持たず紫色がないため、鮮やかな鮮緑色なのが特徴です。アズマネザサ:高さ0.1~4m。古株から出る葉は幅3mmほどで、丈が高くなるに連れて、葉幅が広くなります。古株を刈り込んで伐採すると良いです。
キンチク<金竹>
鑑賞期:年中。
植栽用途:庭植え、鉢植え。
性質・特徴:マダケの一品。枝と稈が黄金色。マダケ:葉は中型、枝が水平に出て樹形が良いです。出筍は5~6月。排気ガス等に弱い傾向があります。結節二輪状。美しく、全体を鑑賞できます。
掘り苗とは、掘り取りをした苗木(タケノコ)のことです。
筍は食べても美味しいですが、観賞用としても楽しむことができます。
4月になると、筍はだいぶ大きく伸びていきます。
モウソウチク、クマザサは特に生長します。
竹・笹の掘り苗(筍)をもらったら、庭に植えてスクスク育つ様子を見るのも楽しいかもしれません。
ここでは、種類別の植え方をご紹介します。
モウソウチク
本年から生長したものは株元から除いて母竹(親竹)だけ植えたほうが無難です。
モウソウチクは食用のタケノコとしてスーパー等でも入手できますが
販売されているタケノコは根(地下茎)がないため、植えても育ちません。
…稀に根がついているものがあり、育つ場合もあります。
クマザサ
若葉をのばしている時だけに、大きなものは株元から切って、3割程度残します。このように植えるために切ってしまうため、その年は鑑賞植物としては少し寂しい感じになるかもしれません。
マダケ・ハチク
筍が10cm程にも伸びていることで、そのままでは活着(根づいて生長しはじめること)しません。筍は除いて3~5cmのものだけ残します。母竹も下枝を5~6段で止めて、枝も半分の長さに切り詰めます。
マダケとハチクも食用として知られています。
※写真はハチク。
上手く育てるポイント
仮植えをする場所は、半日陰を選び、毎日水をあげます。
多くの場合、雨が降れば細かい土が根株につまって、日が照っても葉が巻きません。
葉が巻いてしまったら、水をあげ続けます。
こうして根付いた苗は翌年の2~3月に定植(苗床で育てた苗を田や畑に本式に移し植えること)します。
4月に植えた苗は水分に気を配らなければいけません。
とくに夏の乾燥期に葉が巻くようなら水をあげ続ける必要があります。
根株に“むしろ”や“わら”を敷いて、その上から水をあげるのがオススメです。
注:竹の成長は大変活発で、根(地下茎)がお隣の家まで伸びてしまうことがあります。
テングス病
(出典:Wikipedia)
竹の病気のうち、最も被害の多いのがテングス病です。
マダケ、クロチク、ネザサ、メダケ、モウソウチク等がよく被害を受けます。
病気が起こりやすいのは3~6年、それ以上古い竹稈がある場合です。
テングス病は植物がかかる病気で、
樹木が罹ると茎・枝が異常に密生して高い木の上に巣のような形ができるためこの名がつけられました。
竹・笹が病気にかかると葉が萎縮して小さい鱗片状になります。
枝は箒状になり、栄養が行き届かなくなります。
春から夏にかけて白色の菌塊ができ、5~6月に熟して飛散し、感染が拡大します。
対策:胞子が飛散する前の3~4月に患部を伐採し、焼却することが有効です。
スス病
(出典:http://www.naro.affrc.go.jp/flower/kakibyo/plant_search/ha/hisakaki/post_223.html)
スス病になると葉が黒い皮膜で覆われたり、葉の一部が褐色になったりして光合成がうまくできず、
樹勢が弱って大被害を受けます。
被害が多いのは、ササ類ではアズマザサとミヤコザサです。
タケ類では庭植えのクロチクです。
対策:スス病はタケ類、ササ類の葉に寄生するカイガラムシ、アブラムシの排泄物について、
3月下旬~4月上旬に多く繁殖するので、防除として古い稈を間引いて風通しをよくし、
カイガラムシの発生と繁殖を抑えます。
また、窒素肥料をあげすぎないこともポイントです。
(出典:タケ・ササ 日本放送出版 著:室井綽)