カテゴリー:クマ笹とは
※画像はイメージです。
数十年に一度、タケ類は花を咲かせ、実をつけます。
タケ類の実がどのような味がするのか、各書籍に載っている記録等をまとめました。
食用種子、古来竹米と呼び、米とともに飯、または粥に煮る。
その味は淡白である。
『野生植物掛図』
あるいは炊いて食い、粉にして食らうに、その味もっともよし
笹の餅…余こころみにそれを食うに甘き香り頬に溢れる。奇味、いうべからず、ああ……。
…スズ竹の実の如きは優に米粒の二倍ほどもあり、味も米や麦とは比較にならぬほど美味なものだそうだ。昔から喜んで食用とし、また鶏の食料などにも使われる。
世界第二次戦争中、岩手県盛岡市では笹の実入りのパンを各戸に配給した。ところが食糧の不足した戦争中でもマズイということで不評をかい、1~2割とした。すなわち、色々と試食の結果、多くを入れるとまずいので笹の実1:じゃがいも3:小麦粉6の割で190gのパンを作って配給した。
……6月になると皆こぼれ落ちるのでそれまでに採集した。それを粉にし、または団子にして食べたが米よりはいいものだ。大和での採取量を奈良の奉公所へ聞いてみたら1800Kgとのことだった。
……笹団子の看板が目についたので早速に飛び込んでみる。餅は黄色の直径7~8cm、短径3cm、厚さ1.5cm楕円形、1個3銭…原料は笹実と小麦の半々にして蒸して作った由である。…味は粉の粗製のこともあって、いたって不味、なかなか続けて一個が食えない。
……この実は車屋(水車屋)に出して粉にしてもらうが、軽い粉で、家の中なんずでいびったら、フワフワ舞いだして始末に困る。団子くらいにしかならぬが、「笹くさくてまずいもんだに」と。「終戦のあとの食糧不足の時、ヨシの葉干しといて粉にして食べろと政府で言った。しかしちょうどその年の笹がよく実いいって、その粉食べたでヨシの粉は食べなんだ。笹の実は麦粒みたいなもんで、1斗も2斗も採ってきた。粉のうちは白くて綺麗だが、団子にすると黒くなってこそっぽくてまずかった」と。
笹実については賛否両論ありますが、実際の味は淡白というより、
美味しくないのが本音のようです。
天井に吊るしておいても虫がつかないことから、その不味さを物語っていたようです。
戦争中の食べ物が少ない時でさえ、配給所でも不評だったとか。
笹の実は乾燥すると非常に硬くなるため、お米を炊くようにして食べることはできません。
①精白する前に数時間水に浸して軟らかくします。
(水で軟らかくしないと硬すぎて臼で精白しようにも、すべって果皮が取れない場合があります)
②臼で精白
③煮て食べる。または粉にして団子にする
(左)竹の実、(右)笹の実
食べられる実として挙げられるタケ類の実に笹が多いのは、
竹の種類はほとんど結実しないため、食べられる分の量を確保することが難しいからです。
笹の中でももっとも実がつくのは
クマザサ類(チマキザサ、チシマザサ=ネマガリダケ、ミヤコザサ、スズダケ)、
メダケ類(メダケ、ネザサ、アズマネザサ、カンザンチク)などです。
これらは時に大面積にわたって開花結実するため、たくさんの実が採れたこともあったようです。
(出典:『竹』 著:室井綽)